【天雲の憧憬 ヒサメ・タヅナキ】バックストーリー

Screenshot_2014-11-15-23-19-19-1.png


スポンサーサイト

「海を渡った先に、大きな国があるらしいんだ」

ヒサメの弟は、そう言って飛び立った後、ついに戻っては来ませんでした。
生まれてから今まで、ヒサメはこの村を出たことがありません。
小さいながらも豊かな村で、何一つ不自由することなく、ヒサメは生きてきました。

「せっかく僕達には翼があるのに、どうしてヒサメ姉さんは飛ぼうとしないんだよ」
「こんなに大きな世界が広がってるんだ、僕たちは外に目を向けるべきなんだ」

ヒサメはそう言われる度に、悲しそうに笑うだけで、まじめに取り合おうとしませんでした。
代わり映えのしない小さな村だけで終わる生活に、
何一つ不満を感じなかったヒサメにとって、外の世界は怖いものとして映っていたのです。

「いってらっしゃい」

それが、ヒサメが弟に言った最後の言葉でした。
およそひと月が経ったあと、海の向こうから届いた手紙には、
弟の不幸が記されていたのです。

どうせ、すぐ戻ってくるんだから
――大きな翼を見送った日を思い出しながら、ヒサメは声が枯れるまで泣き続けました。
けれども、どれだけ泣き続けても、旅立った弟は帰って来なかったのです。

海が見える岬の端。彼が憧れていた大きな世界が見える場所に、
ヒサメは小さな墓を作りました。
朝露に濡れた墓前に、ヒサメは自分の羽根をひとつ供えると、
強く地面を蹴って、海に身を投げました。

死のうとしているわけではありません。彼女は決意したのです。
翼をひろげて、空気を掴んで、力強くはばたくと、
落ちた速度と同じ速度で、ヒサメは天高く舞い上がります。

弟の憧れた世界を、私も見てみたい。
そして叶うなら、私の物語が終わった後に、それを弟に話してやろう。
彼女は強くそう思いました。

ヒサメはそれから、泣くことをやめました。
ヒサメの泣き声を聞いて、空の向こうへ消えていった弟が悲しまないように。

力強く羽ばたく彼女の頬には、涙のあと。
朝焼けに燃える海の向こうへ、彼女はもういちど力強くはばたきました。
関連記事


ランキングに参加しています。
1日1回クリックして貰えるとモチベーションが上がります。

人気ブログランキングへ

黒猫ウィズアンテナ猫ウィズあんてなに参加しています。

テーマ:魔法使いと黒猫のウィズ - ジャンル:ゲーム

コメントの投稿

非公開コメント

スポンサーサイト


☆当ブログについて☆

【開催中のイベント】
※イベントのバナーをクリックすると
 まとめページに飛びます


160429ブレイダーバナー



【その他のイベント関連記事】 イベント攻略
150407イベント毎の関連記事まとめ
バックストーリーアイコン

【クエスト攻略】 160303ヴェルタ攻略
アユタラ攻略
オゥランディ攻略
150511土曜の変幻竜覇級

【初心者向け記事など】 初心者QAアイコン
黒ウィズ用語集
160203声優一覧

記事検索はこちらから
人気記事ランキング
最新記事
カテゴリ



最新コメント
リンク
月別アーカイブ
プロフィール

コー

Author:コー
2014年1月15日に黒ウィズデビュー
ゲームは無課金ですが、
カフェやグッズには時々課金します。

黒ウィズID:Q5UQ9PZC
Twitter:@komugi5659

RSSリンクの表示