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【AbCd-Θ:《日輪の炎神 ラヒルメ》 】バックストーリー

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ラヒルメが生まれた世界は炎に包まれていた。
天は、踊り狂う竜の群れの様に無数に立ちのぼる紅炎の柱によって燃えさかり、
大地は赤々と滾る溶岩の海に覆われていた。
そんな世界に、ラヒルメは存在していた。

――彼女は初めから一人だった。

生まれて間もなく、ラヒルメは自分以外の誰かを探して歩き始めた。
この燃え滾る世界にいながら、ラヒルメは一切熱さを感じなかった。
むしろ炎に包まれていると心が落ち着いた。

その世界はラヒルメを受け入れ、ラヒルメもまた、その世界を愛した。
彼女が進むと、紅炎の柱はうれしそうに後に続き、
足下に広がる広大な溶岩の海は踊るように滾った。


やがて世界の全てを歩き尽くし、元いた場所へと戻る頃
――その頃には、幼かった彼女もすっかり成長していた――には、
ラヒルメは炎や溶岩を自分の手足と同じ様に操る事が出来る様になっていた。

その心地よい一体感に浸りながら、ラヒルメは悟った
――この世界は彼女自身であり、彼女はその世界自体だという事を。

――ふと天を仰ぐと、そこには純黒の空間があった。
果てしなく広がる宇宙があった。
ラヒルメはすぐに、その未知の空間に興味を抱いた。
目の前に広がるその空間の広さと比べれば、
この世界《彼女自身》がとても小さな存在に思えた。

――宇宙空間には、星々が無数に散らばっていた。
その一つ一つから、様々な声がかすかに聞こえてきた。
ラヒルメは、まだ見ぬ誰かとの出会いに胸を躍らせ、近くの星へと向かった。

星に近づくにつれ、彼らの声は大きくなっていき、
やがて彼女にもその内容が聞き取れる様になった。
その声から彼女は、自分がラヒルメと呼ばれる神である事を知った。

「――私の知らない誰かは、私の事を知っている……」
彼女は彼らと話してみたいと思った。
そしてもっと自分の事を知りたいと思った。

しかし彼女はその誰かと言葉を交わすどころか、その姿すら見る事はなかった。
彼女が星との距離を更に縮めると、聞こえてくる声は悲鳴に変わった。
彼らは口々に「熱い」と苦しみ、天を仰ぎ、神に助けを求めた。

そしてラヒルメが彼らに手をさしのべた時――、星が燃えた。
人々の悲鳴はやがて止み、後はただ、彼女と同じ
――炎に包まれた世界だけが残った。

そのときラヒルメは、自身が全てを照らし、焼き、焦がす存在だと知った。
そして自分はその存在の大きさ故に、一人である事を悟った。
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